2024年5月27日
鉱物は小さくてもとても情報量が多く、描くときはそれなりの覚悟が必要になります。
何しろ相手は自分よりかなり歳上、膨大な時を経てきている存在です。ぎゅっと諸々の成分が詰め込まれているその重みと相対するわけですから、見つめ続け、描くのはとても体力を使うのです。
覚悟という物々しい気持ちと同時に、「疲れたら寝ちゃえ!」という軽い気持ちも必要です。
がっぷり四つに組んで敵う相手ではないので(実際石の方が全然硬いわけですし)、自分のペースを忘れると一晩寝たくらいでは回復できないくらい疲れます… それだけ、描いていて面白い、描きがいのあるモデルでもあります。
この石独特の層状の構造や、今にも剥がれそうな脆さも描きたいなあと念じつつ、ひたすらハッチング。
ハッチングは最初は単に線の重なりだけなのですが、ひたすら重ねているうちにどんどんリアルになっていくのが面白いのです。
一方、最初から描きたいものの細部が見えているわけでなく、描いているうちに自分の目がアップデートされていくかのようにどんどん見えてくる現象があって。
ハッチングの「全体ぼんやり→細部の精密化」という段階は、そういった自分の目のアップデートにも合わせられるので、私にはとても楽な手法です。
真ん中の青みがかった筋は本当にそのようになっています。
その辺に落ちている石にも、こんなぞくぞくするような美しさがあるのかと思うと、わくわくします。